疲労骨折

疲労骨折ってどんな病気?

疲労骨折とは一回の大きな怪我で起こる通常の骨折と異なり、小さな力の繰り返しで体の一部分に継続的に負荷がかかる事によって生じる骨折です。
疲労骨折はあらゆる年代で発症しますが、激しいトレーニングを行っている学生や社会人に多く発症し、特に成長期に最も多くみられます。

疲労骨折の症状

最初は運動時・動作時のみに痛みを感じますが、進行すると安静時にも痛みを生じるようになります。
好発部位は第2中足骨、脛骨、腓骨、肋骨、足関節内果、腰椎(分離症)などです。
通常の骨折のように、皮下出血や激しい動作時痛を伴う事は少ないですが、局所の腫脹や圧痛がみられます。

疲労骨折の原因

高強度のスポーツやトレーニングを行った場合に速いスピードやジャンプ、切り返しなど、ある特定の箇所に負担がかかりすぎる動作を行った場合に発症する事が多いです。
筋力や柔軟性が欠如している場合、オーバートレーニングによる疲労の蓄積によって発症しやすいと言えます。
特にスポーツの種目やレベルに関わらず、短期間に集中的なトレーニングを行う事で生じる場合が多くみられます。
また女性アスリートで無月経・摂食障害を伴う場合には、誘発される骨密度の低下が基盤にあり、疲労骨折を繰り返す事があります。

疲労骨折の検査と診断

疲労骨折は発症初期の段階ではX線ではっきりしない場合が多いです。
この初期の段階でもMRI検査によって骨髄内の異常信号として発見できます。
発症してから数週間以上経過し、骨折部位に修復機転が働いてから初めてX線で骨硬化像や仮骨形成として現れます。
骨折線がはっきりしないまま経過する事も多いので、見逃されやすい病気と言えます。

疲労骨折の治療法

治療の第一選択は安静です。
アスリートは練習、試合を休みたくないため安静を守れず、かえって治療期間を長くしてしまうケースが見受けられます。
局所の安静を保つために、必要に応じて装具が処方されます。
また難治性骨折の場合には、超音波骨折治療器が使用される事もあります。
患部への負荷を最小限にしつつ、周囲筋の強化、柔軟性の維持は同時に行うべき治療です。
保存療法で骨癒合が得られない場合には手術的治療が選択されます。
特にサッカー選手に多くみられる第5中足骨疲労骨折(Jones骨折)は難治性で、手術になる事が多いです。